入院していた病室は8人部屋だったのですが、驚くほど一人当たりのスペースが狭かったです。
とてもコンパクトなベッドに小さな収納棚があるだけで、面会に来てもらってもイスすら置けないですし、隣の人が移動するたびにカーテンも一緒に動いてしまうくらいの狭さでした。
そんな狭いスペースでしたので、患者さんが一人でもしゃべれば聞こえてしまいます。
聞こうと思っていなくても聞こえてしまうので、辛い気持ちになったこともありました。
たまたまベッドが空いておらず、私は乳腺外科病棟での入院になったのですが、乳腺外科というとやはり多いのが乳ガンでした。
乳ガンの患者さんはとても多く、入院、手術待ちの患者さんがたくさんいらっしゃるそうです。
そのためか、乳ガンで入院された患者さんは、手術前日に入院をし、術後3日ほどで退院という流れが出来ていました。
私はガン患者さんの入院は長いというイメージを持っていたため、驚きを隠せませんでした。
私の病室のほとんどの患者さんが乳房の全摘出という大手術でした。
おそらく想像を絶する痛みでしょうし、退院後の不安もかなり大きいと思います。
それにも関わらず、不思議なことに、どの患者さんも退院前日に明日退院ですと言われていました。
初めから入院計画は伝えてあるとは思うのですが、どの患者さんも帰ることに不安を訴え、もう少し入院させて欲しいと懇願していました。
その気持ちは同じように手術をし、入院している私にはよくわかるのですが、看護婦さんは毎日同じことを言われているせいか、同じ言葉を繰り返し言うのです。
『動かないと傷の治りが遅くなる』『もう明日にはこのベッドに新しい患者さんが入院しにくる』と。
どの患者さんも、明日には別の人の入院が決まっていることに驚き、退院後の不安と戦います。
病院では看護婦さんの人手が足らないし、ベッドも不足しているのは見ていてよくわかりました。
一人一人丁寧に接したくても、その時間もなく、どんどんやらなくてはならないことが山積みなのもよくわかりました。
でも、患者さんは痛みや再発の恐怖と戦っていますし、精神的なダメージも受けています。
特に乳ガンの患者さんは主婦の方が多く、退院してゆっくり休んでいるわけにはいかない人も大勢いらっしゃいます。
看護婦さんが忙しいなら、病気の知識もあり、患者さんの話を聞いてあげられる看護ボランティアさんのような人がいたらいいのになと思いました。